遺言制度は亡くなった人の最終的な意思を示すものですから、
その内容は最大限尊重されるべきです。しかし、だからとい
って、なんでも遺言で決めることができるわけではありませ
ん。
遺言は遺言者の死後に明かされる一方的な意思表示ですから、
ときには行き過ぎたり、内容不明の事柄が書いてあっても、
故人に問いただすことはできません。
そこで、あらかじめ法的拘束力をもつ遺言事項を民法で定めて
います。
遺言による意思表示に法的な拘束力が与えられる事項
を、遺言事項といいます。遺言事項は身分に関するも
のと、財産に関するものに限られます。
たとえば遺言で遺族の婚姻や離婚、養子縁組、遺産の
売買に関することを書き残しても、その遺言は法的拘
束力をもちません。また、夫婦連名で遺言するなど、
複数の人が共同で同一の遺言証書で遺言することもでき
ません。
身分に関する遺言事項とは
■嫡出でない子の認知
身分に関して遺言できるものには、まず非嫡出子の認知が
あります。これには、まだ生まれていない胎児も含まれま
す。
なお、認知された子の相続順位は嫡出子と同順位になりま
す。
■未成年後見人、後見監督人
また、両親のいない未成年者がいる場合、その財産を管理
する後見人を指定することができます。さらに、この後見人
がその役割をはたしているかどうかを監督する後見監督人も
決めておくことができます。